レモンと殺人鬼は 2021年このミステリーがすごい 大賞を受賞した作品です。
今回は、この小説についてまとめました。
・レモンと殺人鬼のあらすじ紹介
・見どころ
・感想
・こんな人にお勧め
・書籍情報 著者、カバーイラスト情報
これから読む方の参考になればと思います。
配信情報:オーディブル、audiobook.jpでの配信はありませんが、kindle電子書籍では配信されていました。
レモンと殺人鬼のあらすじ紹介
十年前、洋食屋を営んでいた父親が通り魔に殺されて以来、母親も失踪、それぞれ別の親戚に引き取られ、不遇をかこつ日々を送っていた小林姉妹。
しかし、妹の妃奈が遺体で発見されたことから、運命の輪は再び回りだす。被害者であるはずの妃奈に、生前保険金殺人を行なっていたのではないかという疑惑がかけられるなか、妹の潔白を信じる姉の美桜は、その疑いを晴らすべく行動を開始する。
引用元:Amazon
主人公の美桜は容姿のコンプレックスがかなりあり、マスクを人前で外すことがないほどです。大学の事務で働いています。大学生の渚(自称 ジャーナリスト志望)と組んで、妹の事件を探っていきます。
また、ふとしたことで大学内で知り合った、院生の桐宮とともに、児童の放課後をサポートするボランティアサークルで子供の面倒を見ることになります。しかしそこには、中学時代に自分をいじめた真凛(在学生)もおり、複雑な関係性が続きます。
そんな中、失踪中の母親が殺されたとの連絡が入り、自分の身の危険も感じ始めます。犯人は父親殺しで、出所後行方をくらませている佐神なのでしょうか。
レモンと殺人鬼の見どころ
主人公の人物像の変化が面白い
はじめは自分に対するコンプレックスの強い女性という印象ですが、後半に入ると、徐々に違和感を感じ始めます。
妹の無実を確かめるために動き始め、真実がわかった時には、
妹は世間の言うような悪人ではなかった。彼女が虐げられる側ではなかったということだ。
くわがきあゆ 「レモンと殺人鬼」宝島社文庫,2023,183頁
よかった。本当によかった。
この後、主人公は笑いが止まらなくなります。
妹が自分と同じ側の人間であったことを改めて知り、涙が出るほど笑いが止まらず、しまいには「幸せ」を感じているのです。
このあたりから、本の前半部分の印象は大きく変わってきます。
最後まで犯人が分からない!予想外の犯人
自分の周囲の人間が殺され始め、自分の身の危険も感じ始める主人公。そんな中、今までかかわってきた人物たちが次々に怪しく感じられるようになります。
一緒に妹のことを調べている渚、放課後一緒に子供たちの面倒を見ている桐宮、昔父親を殺した佐神が迫ってきている危機感を覚える主人公。
仕事中に悪質な嫌がらせも増えてきて、全ての登場人物がより一層怪しく感じられます。一体だれが犯人なのか。また、過去の描写も間に挟んでいるため、この内容にも混乱してきます。
叙述トリックが使われており、犯人のめぼしがついても、二転三転と裏切られ、最後まで真相が分かりませんでした。
感想
ミスリードが使われており、最後まで犯人がわからないのでとても楽しめました。
主人公の印象がどんどん変わってきて、最後はもう別人といった印象を受けました。成長というべきか、一皮むけて別人になっています。
それにしても、みなゆがんだ感情を持っており、サイコパスが多数登場するのに驚きました。
こんな人にお勧め
叙述トリックが好きな方にはお勧めの作品です。
登場人物がさほど多くなく、本も厚くないので、割と読みやすい作品となっています。ミステリーをあまり読んだことがない方にもお勧めです。
トリックに関してはややわかりにくい部分があるので、二度読みをお勧めします。
書籍情報 著者、カバーイラスト情報
著者情報 過去作品
著者:くわがきあゆ
2021年デビュー。2022年、「レモンと殺人鬼」で第21回「このミステリーがすごい!」大賞受賞。
関連書籍:デビュー作「焼けた釘」 2021年「暮らしの小説大賞受賞」
カバーイラスト
カバーイラスト:雪下まゆ イラストレーター
「同士少女よ敵を撃て」、「傲慢と善良」の表紙絵も描かれています。
まとめ
レモンと殺人鬼についてまとめました。
ミスリード、叙述トリックを使った、二転三転する展開がとても面白かったです。回想場面が挟まれていますが、後になって意味が分かるものなので、二度読みすると、より面白みがあると思いますのでお勧めです。
今のところ映像化の情報はありませんが、このミステリーがすごい!大賞作品は、数年後に映像化することが多いので、今後に期待したいですね。
オーディブルでの配信はまだされていないので、配信が決まり次第追記していきます。
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